いちご牛乳
今日はバレンタインデー。
年に一度、僕が小学校に行く日。
僕が乗ったバッドが運ばれた瞬間、教室に歓声があがる。だって僕は人気者だから。
頬を上気させた子供たちは小さな足をぱたぱたと動かしながら配膳の準備をする。
小さな手で僕をつかみながらやったー!と声を上げる少年を見て、ああこれが僕の幸せなのだと噛みしめる。
ふと、僕に強い視線が注がれているのに気がついた。
そちらへ意識を向けると、目。
強い感情がこもり、ぬらぬらと光る目をした山のような男が僕をにらんでいる。
こんな目でみられたのは初めてだ。
思わず縮みあがりそうになると、男ははあ、とため息をついた。
「カロリー制限さえなければな...」
男はもう一度悲しげに、はあとため息をついた。
来年は君のトレイに乗れるといいな。